1on1を形骸化させない――心理学で読み解く「自己効力感」醸成のメカニズム

「自己効力感」を高め、メンバーの主体的な行動を引き出すためには何が必要?
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近年、多くの企業で導入されている1on1ミーティング。
現場からは「単なる進捗確認になっている」「対話が形式化し、本人の主体性が引き出せない」という声があがっていないでしょうか。

1on1ミーティングの本質的な価値は、単なる進捗管理や関係性の構築にとどまりません。メンバーの「自己効力感」を高め、自律的な行動変容を促すことこそが重要です。
こうした自己効力感の向上と、自律的な行動変容の促進に有効な心理学的アプローチが「ピグマリオン効果」です。

ピグマリオン効果とは?――期待がパフォーマンスを向上させる
「ピグマリオン効果」は教育心理学の分野で非常に有名な心理現象で、「他者からの期待が個人のパフォーマンスを向上させる」というものです。

アメリカの教育心理学者ロバート・ローゼンタールらは、幼稚園児・小学生を対象に知能テストを実施し、教師に対して「今後成績が伸びると期待できる生徒」のリストを提示しました。しかし、実はこのリストに掲載された生徒は、知能テストの結果とは無関係に選ばれていました。つまり、教師側に"この子たちは成績が伸びる"という思い込み(期待)がある状態を作り出し、8ヵ月後に知能テストのスコアの変化を調査したのです。

実験の結果、期待を寄せられた生徒たち(「今後成績が伸びると期待できる生徒」のリストにランダムに選ばれた生徒たち)は、実際に知能テストのスコアも大きく向上していました。それだけでなく、これらの生徒は学習への興味や自主性も高まっていました。ランダムに選択されたはずの生徒たちが、教師側の期待によって、実際に「今後成績が伸びると期待できる生徒」になった、といえるでしょう。

名称の由来は彫刻像に生命を宿したギリシャ神話
この名称は、ギリシャ神話に登場するピグマリオンに由来します。自ら彫り上げた理想の女性の彫刻像に恋焦がれた彼は、愛の女神アフロディーテに日夜祈りを捧げ、ついに彫像に生命を宿してもらうことに成功します。彫像はガラテアと名づけられた女性となり、ピグマリオンとガラテアは夫婦として添い遂げることとなります。こうしたギリシャ神話の逸話から「ピグマリオン効果」は命名されました。

対照的な心理現象「ゴーレム効果」
一方で、対照的な心理現象として「ゴーレム効果」も知られています。これは教師が期待をかけない、あるいはネガティヴな評価をすることで、生徒の成績や意欲を減退させてしまう心理現象のことです。

なぜ他者の期待が個人のパフォーマンスを高めるのか
注意したいのは、ただ他者が期待しただけで魔法のように個人のパフォーマンスが向上するわけではない、という点です。期待を抱く側が無意識のうちに相手へ思いやりを持って接したり、小さな成果を積極的に称賛したり、といった「ポジティヴな働きかけ」を増やすことこそが、パフォーマンス向上の真の原動力となります。

ピグマリオンマネジメントと、不可欠な「信頼の土壌」
ピグマリオン効果はビジネスシーンでも極めて有効であり、1990年代には「ピグマリオンマネジメント」という概念も提唱されました。仕事において「期待されている」と実感することで、通常以上の集中力や創造性が発揮された経験は、誰しも心当たりがあるのではないでしょうか。

ただし、ピグマリオンマネジメントを機能させるためには、上司・部下間の信頼関係が不可欠です。信頼関係がない状態では、上司がどのような期待の言葉をかけたとしても、部下には「自分を都合よく働かせようとしているだけだ」「お世辞ではないか」と受け止められてしまい、効果は発揮されません。期待は、信頼という土壌があって初めて芽吹くものなのです。

上司が部下の可能性を心から信じ、期待を言葉や態度で示すこと。その積み重ねが、組織全体のパフォーマンスを最大化させるカギとなります。

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※画像はAIで生成されたものです。


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