学校の“価値”を正しく伝えることで学生が集まる学校づくり
私たちはこれを「選ばれる学校づくり」と呼んでいます

 その呼び方の根底にある「思い」は,「過剰な広告」「流行の学科の新設」「学費の値下げ」など安易なプロモーションにばかり頼るのではなく,「募集」と「教育」が一体となり,自校の"価値"をしっかり把握・共有したうえで,学生に正しく伝えていくことこそが重要だという信念に基づいています。

うまくいかない「募集」,質が低下する「教育」

 「募集」がうまくいかない状況として,しばしばこのような例が見られます。

 「学生数の減少による危機感から,入学者を集めるための広告に多大な費用を計上し,学費の値下げを行うなどプロモーションに力を入れた。さらに,もともとは無かった人気の学科を新設するなど,多くの資源を投入した。教職員の多くは高校などでのガイダンスにも奔走し,ヘトヘトになるまで働いている。しかし,そこまでやってもなかなか学生が集まらない。」

 現在,多くの高等教育機関ではこのような「募集」プロモーションに力を入れた施策がとられがちですが,その大半は成功しているとはいいがたいようです。確かに,一時的に高校生など進学活動者の興味を引くことはできるかもしれません。しかし,それだけでは必ずしも「いい学校だ」「入学したい」という評価を得ることはできないのが現状なのではないでしょうか。

 むしろ,このような「学生の数」のみを追いかける表面的なプロモーションばかりを行っていると,本来は「教育」に投入すべき労力や資金が不足することもあります。学校のアイデンティティが希薄化するなど弊害が生じてしまい,学校の「教育」の質を下げることにもつながりかねません。日常生活でも安売りなどにより,かえって商品イメージを損なったブランドを目にすることがあります。学校も同様に,安易なプロモーションの結果学校の"価値"を自ら切り下げ,ますます学生数が減少する「負のスパイラル」に陥る例も多々あります。



「募集」と「教育」の乖離

 上記のような「募集」がうまくいかない学校の多くには,共通するひとつの特徴があります。

 それは,「募集(広報)」と「教育」が乖離してしまっているということです。つまり,「募集(広報)」と「教育」をZERO SUMのように両者は相容れないものであるとし,どちらか一方を優先して資源を振り分けようとして,協力体制を築けないまま資源を奪い合っているのです。例えば,本当は「教育」にもっと力を入れたいけれど,学生数が減少している現状では「募集(広報)」にお金をかけざるを得ないと考えてしまったり,「教育」を担当する教員たちが説明会やオープンキャンパスを自分たちの仕事には関係のないものと捉え,「募集(広報)」に無関心・無関与となってしまったりする状況です。

 このような状況では,広報担当者が自校の教育内容や他校との違いなどを十分把握しないまま「数」だけを求める施策に走りがちになっても仕方ありません。その一方で教員は,自分たちの教育現場での仕事が学生や高校生を通して学校の印象を形成し,長期的には「募集(広報)」に大きく影響しているという視野を持つことができなくなります。



「募集」と「教育」が一体となった本来の姿

 教育機関において,「募集(広報)」と「教育」は別ものではないはずです。なぜなら,「募集」成功のためには,意欲的な学生に魅力を感じてもらえるような「教育」を充実させ,その"価値"を校内で共有することが欠かせないからです。また,きちんと「教育」を行うためには,意欲があり学校の理念と合致した質の高い学生を「募集」しなければなりません。

 例えば,広報担当者は自信を持って自校の特徴や良さを進学活動者に伝えるために,自校の「教育」に深くかかわり,内容を理解したうえで,他校とどこが違うのかをしっかり把握することが重要になります。一方,教員は学生に対してしっかり「教育」を施し,社会に送り出す役割を担っています。それは,学校の"価値"を社会に示すことでもあり,このためにはどのような学生に入学してほしいのかを真剣に考え,明確に示す必要があります。

 「募集(広報)」と「教育」は,「学校づくり」の両輪として位置づけられるものであり,一方にのみ力を入れるのではなく,本来一緒に機能すべきものです。このように考えれば,先に見た「募集」プロモーションばかりに資源を投入する施策では,必然的に学校の価値が損なわれれしまうということは容易に理解できるのではないでしょうか。

 学校の"価値"を見据えたうえで,「教育」の現場では日々の実践を通して"価値"を高め,「募集(広報)」の現場では"価値"を正しく把握して校内で共有し,わかりやすいメッセージとして高校生など進学活動者 に正しく伝えるという施策が必要とされます。つまり,高等教育機関には,「募集(広報)」と「教育」が一体となり,進学活動者 に"価値"を知らしめるという取り組みこそが求められているのです。

 しかし,<"価値"を正しく伝えること>や<「募集」と「教育」が一体となること>が,いかに重要だとはいえ,現実にはそううまくはいかないという意見もあるでしょう。結局学生を集めるためには,学校をうまく「見せる」必要があり,資本に恵まれた大きな学校や,飾りたてることが上手な学校こそが志望者を増やすに違いないと考え,どうしても「募集(広報)」と「教育」を別々に捉えてしまう学校も少なくありません。

 こうした考え方は一見,現実を見据えているかのように思われますが,果たして本当にそうなのでしょうか。



高校生は学校の"価値"で選んでいる

 「募集(広報)」における「学校の"価値"」を正しく伝えることの重要性は,(株)応用社会心理学研究所が長年行ってきた進路決定研究や募集マーケティングなどの科学的立場からも示されています。高等教育機関への進学を検討する,高校生を始めとした進学活動者は,教育機関としての"価値"を彼らなりに比較して学校を選択しており,実際に"価値"があると評価した学校に入学していることが実証されています。

 進学活動者は偏差値などの代替指標はもちろん,エリア,分野などの条件のみで学校を選んでいるわけではありません。彼らは様々な方法で学校のことを知り,情報を収集・整理・分析して彼らなりに"価値"を感じられる学校を選んでいます。とすれば,他校にはない自校の特徴や特色などをしっかり意味づけして,それらを正しく伝えるような取り組みや工夫をすることが,学校にとっては最も有益なのではないでしょうか。



本来あるべき姿 ~「選ばれる学校づくり」~

 このような考え方を基に,私たちは「募集(広報)」と「教育」とが一体となって学校の"価値"を正しく伝えようとする一連の取り組みを「選ばれる学校づくり」と呼んでいます。

 学校関係者全体がまずすべきは,「募集(広報)」と「教育」を一体と捉え,科学的根拠(エビデンス)に基づいて自校の"価値"をしっかり把握・共有することです。そのうえで,高校生を対象とした広報の現場だけでなく,現在の在校生を対象とした教育現場でも同様に,彼らに一貫して"価値"を伝えていかなければなりません。これらの取り組みによって,普段の教育活動が広報につながり,共鳴した学生が多く集うことでさらに教育が強化されることが期待されます。

 「選ばれる学校づくり」のための取り組みとしては,これまで高校生など進学活動者が求める"価値"を理解せず間違ったプロモーションをしていた学校が,それを改善することで実際に「募集(広報)」を改善できた例があります。また,「募集(広報)」と「教育」が一体となって「選ばれる学校づくり」をするための具体的なステップも明らかになりつつあります。

 学生たちの将来を担う全国の高等教育機関では「プロモーションによって,うまく見せて学生を集める学校」から「教育を重視し,価値を正しく伝えて学生に選ばれる学校」へと生まれ変わるべく,今まさに新たな取り組みが始まっています。



高校生が感じる学校の"価値"を表す"指標"

 学校本来の"価値"に基づく「学校づくり」を実現するためには,その"価値"を,外から"見える"ようにする必要があります。私たちはそのために「高校生など進学活動者 が学校の"価値"をどのように捉えているのか」を客観的に知ることのできる"指標"の開発を行っています。 この"指標"を用いて"価値"を測定することによって,学校運営や募集(広報)において「現状の共有」や「施策の優先順位の把握」などが可能になると考えられます。

 私たちは,この"指標"を基に自校の役割や方向性を見つめ直し,独自の"価値"を高めて正しく伝える学校ならば,必ず高校生など進学活動者 から「選ばれる学校」になれると考えています。高等教育機関が「価値の指標」を導入し,学校本来の"価値"に基づく「学校づくり」を進めれば,その効果は学校運営の課題解決だけにとどまりません。それは高校生など進学活動者にとっても,"価値"に基づく「学校選び」を可能にする地図となりえるのではないでしょうか。



より良い「学校選び」を実現するために

 "価値"に基づく「選ばれる学校づくり」の実現によって,高校生など進学活動者 の「学校選び」,また彼らと学校の関係はどのように変わっていくのでしょうか。

 "価値"に基づく「選ばれる学校づくり」が実現すれば,学校,進学活動者の双方にとってより良い状況が生じると考えられます。

 各学校が自校の特徴や長所,独自性などを把握し,進学活動者に向けてその方向性や役割を正しく発信すれば,必ずそれに応じて"価値"を感じて入学する学生が増えるはずです。そうした学生は入学後も活動意欲が高いので,学内の授業の質が向上したり,学生全体の雰囲気が良くなったりすると考えられ,ひいては中長期的に学校の"価値"がさらに向上するという好循環が生まれます。

 一方,学生にとっても相乗効果が期待できます。信頼できる情報によって,自分の価値観や仕事などの将来のイメージに合致した学校を的確に選ぶことができれば,授業はもとより学生生活全般への満足度が高まるでしょう。近年話題にのぼることが多い中途退学問題や学生の意欲の低下などの問題についても,解決の一助となるかもしれません。また,将来のキャリア選択でのミスマッチを防ぐことにつながる可能性もあります。

 このような"価値"に基づく「選ばれる学校づくり」を実現するためには,まず「進学活動者 が学校の"価値"をどのように捉えているのか」を客観的に知ることが重要です。


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